Modelの構造とViewの活用

Created: 2026-08-10 Updated: 2026-08-17

Modelは、Bounded Contextに必要な事実、概念、規則、振る舞い (Behavior)を現実世界から抽出・蒸留し、一貫した意味境界で扱えるように構成した抽象です。

第4回では、Modelの構造と、そのModelを扱うためのView (ビュー)を説明します。形式構造を具体的に示し、UPとの連続性を明確にするため、Object Modelを中心的な説明対象として使います。

Domain Modelは概念、関係、規則、判断という意味の軸を、Use Case ModelはActor、Goal、Scenario、Outcomeという意図の軸を与えます。二つのModel軸からCapability (ケーパビリティ)とAspect (アスペクト)をModel要素として構成・確認し、複雑なModelはDomain View、Use Case View、品質属性系ViewなどからPurposeに応じて扱います。Object Modelは、この構造を形式的に説明するための中心であり、Model全体の上位概念ではありません。

記事の全体像

第4回の全体像: ModelをDomain ModelとUse Case Modelの二つの軸で組織し、CapabilityとAspectを構成します。形式構造はObject Modelを中心に説明し、複雑なModelはPurposeとConcernに応じたViewから扱います。 review summary

シリーズにおける位置付け

第3回では、Object Model、Knowledge Model、Literate ModelとDomain Modelの関係を整理しました。第4回ではModelの構造を主題とし、Domain ModelとUse Case Modelを二つの軸として読み、その複雑な構造を目的別のViewから扱う方法を説明します。形式構造の説明ではObject Modelを中心に置き、三つのModelとの構成関係は二つの軸とView Systemを説明した後に接続します。

第4回の中心はModelの構造とViewの活用です。Object Modelを用いて形式構造を説明し、Domain ModelとUse Case Modelを二つの軸として整理した後、終盤でObject Model、Knowledge Model、Literate Modelとの構成関係を示します。Use Caseの実現を動的構造として組織するApplication Modeling (アプリケーション・モデリング)と、承認済みモデルを実装・実行へ接続するModel Realization (実現関係)は区別します。

Bounded Contextに必要な抽象としてのModel

現実世界には、現在の状態 (State)、過去の経緯、将来の可能性、暗黙のルール、例外、複数の解釈、未観測の事実が含まれます。Modelは、そのうちBounded ContextのPurposeとConcernに必要な範囲を選択して表現します。

Modelに含める情報と省略する情報は、PurposeとConcernに基づいて決定します。省略した範囲、前提、粒度を記録することで、選択の妥当性を確認できます。Modelの境界は、そのModelが答える問いの範囲を表します。

Bounded Contextが現実世界をModelへ蒸留する

Bounded Contextは、どの言語、意味、規則、責務 (Responsibility)を一貫して扱うかを定めるドメイン側の意味境界です。そのContextに必要な範囲を現実世界から抽出し、名称を統一し、概念と規則を整理して、実行へ接続できるModelへ蒸留します。

bounded context model

Bounded Contextはドメイン側の意味境界を表します。Execution Contextは、Modelを実行するruntime、resource、transaction、security、deployment条件を扱うプラットフォーム側の実行環境を表します。

PurposeとConcern

Purposeは、そのモデルを何の判断、対話、変換、実行に使うかを定めます。同じ業務対象でも、用語を合意するためのモデル、業務規則を検証するモデル、状態変化を実装するモデル、運用障害を分析するモデルでは、必要な情報が異なります。

Concernは、そのPurposeを満たすためにモデルが答えるべき問いや利害です。たとえば「誰がこの規則を所有するか」「どの状態遷移が許されるか」「判断の根拠は何か」「障害時にも処理を継続できるか」は異なるConcernです。Concernを列挙すると、モデルへ含める情報と検証条件を具体化できます。

PerspectiveとViewpoint

Perspectiveは、対象を見る位置と選択規則です。利用者、業務担当者、開発者、運用者といった立場だけでなく、現在と将来、構造と振る舞い、概念と実装、全体と詳細などの違いもPerspectiveになります。

Viewpointは、同種のViewを繰り返し構成し、解釈し、検証するための規約です。対象とするConcern、使用するモデル種別、表記法、分析方法、整合規則を定めます。Perspectiveが「どこから見るか」を与えるのに対し、Viewpointは「どの規約でViewを作り、読むか」を再利用可能にします。

この区別は、Architecture Viewが特定のConcernへ答え、Architecture ViewpointがViewの構成・解釈・利用の規約を定める ISO 42010:2022 の考え方と整合します。SimpleModeling (シンプルモデリング)では、その考え方をArchitectureだけでなく、モデリング活動全般へ拡張して使用します。

Modelの構成とViewの活用

Modelの構成とViewの構成は役割が異なります。Modelの構成では、Bounded ContextのPurposeとConcernに従って現実世界から必要なものを選択・変換し、意味、識別子 (Identifier)、規則、振る舞いを持つ構造へ組み立てます。Modelを扱うときには、PerspectiveとViewpointに従って確認対象を選択し、Viewとして可視化します。

model construction and views

Model構成とView選択では、選択した情報に加えて、除外した情報、前提、粒度、時間範囲、選択規則を記録します。この記録を使って、Modelの境界と、現在のPurposeに必要なViewを確認します。Viewで見つかった不足や矛盾は、必要に応じてModelの構造と現実世界についての理解へ反映します。

Modelが必要な意味と機能を保持する

Modelは、概念、関係、規則、制約 (Constraint)に加えて、Bounded Contextに必要な状態変化、Command、Event (イベント)、Workflow、Policy、Calculation、Decisionなどの機能を保持します。実装、検証、知識、運用へ接続されるworking abstractionとして使用します。

機能が増えるにつれて、Modelに含まれる概念、振る舞い、制約、品質の関係も増えます。一つの図に含める情報量が多いと、目的に必要な抽象を読み取りにくくなります。PurposeとConcernに応じたViewを使い、確認対象を限定します。

二つのModel軸と明示的なModel要素

SimpleModelingでは、Domain ModelとUse Case ModelをModel構成の二つの軸として扱います。Domain Modelは概念、関係、規則、判断という意味の軸を、Use Case ModelはActor、Goal、Scenario、Outcomeという意図の軸を与えます。二つを直交する同格の軸として読み合わせ、同じModelの要素を異なる方向から構成・確認します。本稿では形式構造を具体化し、UPとの連続性を示すためにObject Modelを中心に説明します。

二つの軸から、CapabilityとAspectを明示的なModel要素として構成します。Capabilityは「Modelが何をできるか」を表し、Command、Event、Workflow、Policy、Decisionなどの機能を一つの識別可能な単位へまとめます。Aspectは「どの条件でそのCapabilityが成立するか」を表し、Performance (性能)、Observability、Security (セキュリティ)、Reliability (信頼性)などの品質条件を重ねます。AspectはCapabilityの成立条件として、Capabilityと同時に設計・検証します。

model elements

Glossaryを意味と同一性の背骨にする

Glossary (用語集)は、Ubiquitous Languageの用語名、意味、境界、同義語、識別子を管理し、Domain ModelとUse Case Modelの両方へ同じ語彙とIDを供給します。自然文、形式的なModel要素、複数のView、テスト (Test)、実装が参照する概念の同一性 (Identity)を、この語彙とIDで追跡します。

共有IDは、表示名が変わった場合や、Viewごとに異なる情報だけが見える場合にも、概念の同一性を保ちます。Glossaryは、Domain ModelとUse Case Modelの二つの軸、Model要素、View Systemを接続する意味上の背骨です。

Viewで複雑なModelを扱いやすくする

Viewは、複雑なModelを理解・検証・利用するときに、PurposeとConcernに必要な要素、関係、振る舞い、品質を取り出すための確認可能な表現です。図、文章、表、CML (Cozy Modeling Language)、用語集、Knowledge Graph、実行トレースを表現手段として使用できます。Viewの意味と同一性は、ModelとGlossaryを参照します。

Domain Viewを意味上の参照点にする

Domain Viewは、Domain Modelの意味軸から、Bounded Context内で一貫して使うUbiquitous Language、概念、関係、規則、境界をPurposeに応じて可視化します。他のViewに現れるActor、Goal、Capability、状態、Event、品質上の対象をModel内の同じ要素へ対応付ける、View間の意味上の参照点として使用します。

各ViewはPurposeに必要な抽象を示し、名称、識別子、規則、境界をDomain ViewとGlossaryへ対応付けます。この対応によって、各Viewが同じModelのどの部分を扱うかを追跡できます。

Use Case Viewと品質属性系View

Use Case Viewは、ActorのGoalからScenarioをたどり、Modelが提供するCapability、観測可能なOutcome、例外を結びます。Domain Viewは対象の意味を示し、Use Case Viewは誰のために何を達成し、Modelの機能をどのように使うかを示します。Use Case Viewは、他のViewと同格に位置付けます。

品質属性系Viewは、Reliability、Performance、Security、Operability、Observability、Evolvabilityなど、複数の機能を横断する条件をConcernごとに可視化します。Domain ViewとUse Case Viewへ品質属性系Viewを重ね、Capabilityが成立する負荷、障害 (defect)、権限、運用、変更の条件を確認します。

Use Case Modelを開発全体のTraceabilityにする

Use Case Viewと開発全体の接続は、元になるUse Case Modelの情報構造によって成立します。Use Case ModelはActor、Goal、Scenario、Outcomeを一つの物語とUse Case IDとして保持します。OutcomeをCapabilityと実装へ、ScenarioとOutcomeを受入基準とテストケースへ、ActorとScenarioをマニュアルへ、Use Case IDを開発工程の作業単位と進捗管理へ直接対応付けます。

たとえば UC-ORDER-01 というUse Case IDを持つ注文確定の物語では、自然文のGoalとScenarioをCapability、Code、Acceptance、Test、Manual、Development Process (開発プロセス)へ接続します。この対応は、変更の影響を開発全体で追跡する軸になります。Use Case Modelは、要求の説明と、物語から実装成果物への対応付けを担います。

use case traceability

目的に応じて選ぶView Catalog

View Catalogは、Modelを確認する目的に応じて拡張する開いた集合です。Domain ViewやUse Case Viewに加え、Performance、Observability、Security、Reliability、Availability、Testabilityなどの品質属性系Viewを登録できます。PurposeとConcernが必要なViewpointを選び、その規約に従ってModelからViewを構成します。

Viewは、Purposeに必要なものを選んで構成します。View GroupとViewpointについても、必要な交点だけをViewとして具体化します。

view catalog

UPの4+1 View GroupsとSimpleModelingの拡張

SimpleModelingはUP(Unified Process)を土台とし、Logical、Process、Development、Deployment、Scenarioからなる4+1 Viewを、選択可能な五つのArchitecture View Groupとして継承します。View GroupはArchitectureを構成する関心領域のまとまりであり、各Groupの具体的なViewはPurposeに応じて選びます。

SimpleModelingの差分は、Domain、Performance、ObservabilityなどのViewpointを複数のView Groupへ横断的に適用できることです。たとえばPerformance Viewpointから、目的に必要なLogical、Process、DeploymentなどのPerformance Viewを構成し、それらをComposite Performance Viewとして合成できます。UPの構成要素を保持したまま、Domainと品質属性 (Quality Attribute)のConcernをGroup横断で追跡できるView Systemへ拡張します。

up 4plus1 view system

複数Viewと対応関係

同じModelに対して、Domain View、Use Case View、Application View、品質属性系Viewを相補的に構成できます。Domain Viewは問題領域の意味、構造、規則、境界に重点を置き、Application ViewはUse Caseの実現、協調 (Collaboration)、相互作用、状態遷移、Event、Service、Operation (操作)に重点を置きます。それぞれが異なるConcernを扱います。

複数Viewが共有する概念、境界、規則、識別子は、対応関係を明示します。Glossaryは名称と意味を接続し、対応表や参照リンクはModel要素間の関係を示します。対応できない項目は、現実世界の理解、Viewの選択条件、Modelの表現を再確認する対象になります。

注文確定を選択したViewから確認する

注文確定Capabilityを例にします。Glossaryで共有したCapability IDを CAP-ORDER-CONFIRM とします。Domain Viewでは注文、在庫、支払いの規則を、Use Case Viewでは購入者のGoalと例外を、Performance Viewでは二秒以内という条件を、Observability Viewでは遅延と失敗の検知を確認します。

各Viewは異なるConcernを示し、共有Capability IDによって一つの注文確定Capabilityへ対応付けられます。このIDをたどることで、目的に応じて選んだ複数Viewが同じCapabilityを異なる側面から扱っていることを確認できます。

confirm order views

モデル品質を四つに分ける

SimpleModelingでは、ModelとViewの品質をClarity、Consistency、Validity、Accuracyの四つの尺度で評価します。

品質 確認する問い

明確性

読者とAIが同じ意味として解釈できるか。

一貫性

Model内およびView間で定義や関係が衝突していないか。

妥当性

Purposeに必要なConcernへ答えているか。

正確性

選択した範囲の事実と規則が現実世界に合っているか。

ツールやAIは、明確性と一貫性の確認を広く支援できます。妥当性と正確性には、Purposeを持つ利用者、ドメインエキスパート、観測結果、実行結果が必要です。SimpleModelingは、構造を厳密にすることと、現実世界に対する正しさを保証することを区別します。

この四つはModelとViewの評価尺度です。品質属性系Viewは、ReliabilityやSecurityなど、Modelが実現する性質を可視化します。評価尺度と可視化対象の品質属性は、それぞれ別の役割を持ちます。

反復するモデリング循環

ModelとViewは反復的に更新します。Bounded ContextのPurposeとConcernに従って現実世界からModelを蒸留し、PerspectiveとViewpointに従ってViewを構成し、シナリオ、レビュー、テスト、実行結果で検証します。見つかった不足や矛盾は、View、Model、Bounded Contextの境界、Concern、Viewの選択規則、現実世界についての理解へ反映します。

この循環により、Modelは知識と実行結果を取り込みながら更新されるworking abstractionとして機能します。

三つの構成要素と実現経路

第4回ではModelを主題とし、形式構造の説明ではObject Modelを中心に置きます。終盤では、SimpleModelingモデルの三つの構成要素、それらから目的別に構成するDomain Model、Use Case Model、Application Model、および実現経路を整理します。

構成要素 主な目的

Object Model

Object、型、責務、関係、制約、状態、振る舞いを形式構造として保持します。

Knowledge Model

概念の根拠、出典、意味関係、探索経路を知識構造として保持します。

文芸モデル

文脈、意図、説明、Goal、Scenarioを自然文と構造化要素で保持します。

Domain Modeling (ドメイン・モデリング)は、三つの構成要素から、PurposeとConcernに必要な意味、構造、規則、境界をDomain Modelとして組織します。Use Case Modeling (ユースケース・モデリング)は、Actor、Goal、Scenario、OutcomeをUse Case Modelとして組織します。Application Modelingは、Use Caseの実現に必要な動的構造をApplication Modelとして組織します。Object Model上の共有要素とGlossaryのIDが、これらの適用モデルと各Viewを対応付けます。

Application Modelingは、Literate ModelのUse Case Scenario (ユースケースシナリオ)からUse Case Realization Modelを構成し、CollaborationとInteraction (モデル上の相互作用)を介して、StateMachine (状態機械)、Event、Service、Operationへ対応付けます。Domain Modelingが静的側面、Application Modelingが動的側面に重点を置きますが、両者を完全な排他的分類にはしません。

承認済みの実行可能な形式構造をCML、実装、テスト、実行環境へ接続する活動 (Activity)はModel Realizationです。レビュー、テスト、実行で見つかった不足は、Object Modelを中心とする構造、Knowledge Modelの根拠、Literate Modelの文脈と意図、Bounded Context、Application Model、View選択へ反映します。

AIでModelとViewを扱う

AIは、依頼で指定されていないPurpose、Concern、Perspective、粒度を推定して補います。利用者はこれらの選択条件を明示し、AIが採用した条件と照合します。生成結果は、どの問いに答えるViewとして構成されたかを含めて確認します。

Bounded Context、Purpose、Concern、Perspective、Viewpoint、除外範囲、求めるViewを明示すると、AIは選択条件に沿ってModelを探索し、候補となる抽象と対応関係をViewとして提示できます。人間は、その選択のPurposeに対する妥当性と、現実世界に対する正確性をレビューします。レビュー対象には、生成結果、参照したBounded ContextのModel、構成したViewを含めます。

AIが物語のModelを実装へ接続する

AI以前のUse Case ModelとLiterate Model(文芸モデル (Literate Model))は、要求、設計意図、前提を自然文で説明し、関係者の合意を形成するために利用されていました。自然文からModel要素、実装、テスト、マニュアルへの対応付けと変更同期は、主に人間が担当していました。

AIはGlossaryの意味と識別子を基準に、Goal、Scenario、OutcomeをCapability、Aspect、Code、Test、Manualへ対応付け、変更時に関連する成果物を探索して同期できます。この接続により、Use Case ModelとLiterate Modelは、説明と合意に加えて実装成果物と同期する開発Modelとして利用できます。SimpleModelingでは、このAI接続された物語を方法論の一つの軸として扱います。

AIは対応付け、一貫性確認、変更候補の提示を支援します。人間は、Goalの業務目的に対する妥当性、AspectのCapability成立条件としての十分性、Purpose、正確性を判断します。

literate model ai

方法論上の設計判断

設計判断 意味

現実世界とモデルを分ける

Modelを、選択と省略を説明できる現実世界の抽象として扱います。

Bounded Contextを意味境界にする

現実世界から何を蒸留するかをドメイン側の一貫した言語・意味・規則で定め、Execution Contextと区別します。

PurposeとConcernから始める

記法や技術より先に、答える問いと利用目的を定めます。

Model構成とView選択を分ける

Modelが保持する構造と、Purposeに応じてViewへ取り出す情報を区別します。

複数Viewを許容する

異なるConcernに答えるViewを相補的に扱い、共有概念は対応付けます。

Domain Viewを意味上の参照点にする

Domain ViewとGlossaryを使って、複数Viewを同じModelの意味と識別子へ対応付けます。

三つの構成要素から目的別の適用モデルを作る

Object、Knowledge、Literateの寄与からDomain Model、Use Case Model、Application Modelを構成します。Domain ModelとUse Case Modelは意味と意図を整理し、Application ModelはUse Case実現に必要な動的構造を組織します。Object Modelは形式構造の説明に使用します。

UPの4+1を継承・拡張する

五つのView Groupを保持し、横断Viewpoint、目的に必要な交点、Composite Viewを追加します。

Use Case Viewを同格にし物語をTraceabilityへ使う

Use Case Viewを他のViewと同格に置き、Use Case Modelの物語とIDを実装、テスト、マニュアル、工程へ直接対応付けます。

AI接続された物語を重要軸にする

Use Case ModelとLiterate Modelを実装成果物へ対応付け、変更を同期しつつ、GoalとAspectの判断は人間に残します。

品質を分けて確認する

明確性・一貫性と、妥当性・正確性を別の尺度で評価します。

根拠から反復する

レビュー、テスト、実行結果をModelと選択条件へ戻します。

次回

本稿ではModelの構造とViewの活用を整理し、形式構造の説明ではObject Modelを中心に置きました。Domain Model、Use Case Model、Application ModelはObject、Knowledge、Literateの寄与から目的別に構成され、その複雑なModelはUPの4+1を継承・拡張したViewから扱います。Application ModelingがUse Caseの動的な実現を組織し、Model Realizationが承認済みモデルを実装と実行へ接続します。次回はObject Modelingの個別技法として、Object、型 (Type)、制約、責務、協調を詳しく扱います。

参照

用語集

モデル (Model)

Modelとは、対象を特定のPurposeとConcernに基づいて選択し、理解、判断、検証、構築に利用できる形で表した抽象です。対象そのものではなく、目的に必要な要素、関係、意味を保持する表現です。

オブジェクト・モデル (Object Model)

Undefined

UP (Unified Process)

UMLを基盤とし、反復型・ユースケース駆動・アーキテクチャ中心のプロセスモデル。Rational Unified Process (RUP) などの派生形を持ち、CBD(コンポーネント指向開発)の実践基盤となる。

ユースケース (Use Case)

UMLにおけるUse Caseは、対象システムがActorまたは他の利害関係者に観測可能な価値あるResultをもたらすために実行するActionの集合を定めるModel Elementです。

振る舞い (Behavior)

UMLにおけるBehaviorは、そのContextとなるBehaviored Classifierが時間とともにどのようにStateを変えるかを定める仕様です。可能な実行、創発する振る舞い、または特定の実行例を表せます。

ビュー (View)

Viewとは、Modelを特定のPurposeとConcernに応じて選択し、理解、判断、検証、利用できる形で投影した表現です。ViewはModelの一部を見せるものであり、元のModelとは別に意味を所有しません。

アスペクト (Aspect)

アスペクト(Aspect)とは、複数のモデル要素や振る舞いを横断して確認する条件、性質、関心事です。品質属性を中心とし、必要に応じて品質属性だけでは表し切れない横断的な条件も含みます。

ケーパビリティ (Capability)

ケーパビリティ(Capability)とは、モデルまたはシステムが利用者や対象領域に対して何を可能にするかを表す概念です。実現方法ではなく、提供できる結果や働きに着目します。

オブジェクト (Object)

Objectとは、Classまたは他のClassifierによって分類され、構造、State、Behaviorを持ち得るInstanceです。Objectは、同じClassifierの他のInstanceと区別して参照できる個体として扱われます。

実現関係 (Realization)

Undefined

アプリケーション・モデリング (Application Modeling)

アプリケーション・モデリング(Application Modeling)とは、ユースケースをアプリケーションが実現する振る舞いとして具体化し、アプリケーション・モデルを構成する活動です。ユースケースシナリオから、参加者、役割、責務、協調、相互作用、状態遷移、イベント、サービス、操作への対応を明らかにします。

状態 (State)

UMLにおけるStateは、ある不変条件が成立している状況をモデル化したものです。Objectの現在のStateによって、受け付けられるEventやOperation、成立するConstraint、次に可能なTransitionが変わります。

責務 (Responsibility)

Responsibilityとは、ObjectまたはRoleが、何を知り、判断し、行い、守るべきかを表す義務です。構造上の情報だけでなく、規則とBehaviorの所有を定めます。

妥当性確認 (validation)

Validation(妥当性確認)とは、システムや機能が利用目的や要求仕様に対して妥当であるかを確認する行為である。

シンプルモデリング (SimpleModeling)

SimpleModelingは、KnowledgeからDomain Modelを構成し、CMLで形式化し、CozyとAIによって実行可能ソフトウェアへ実現し、Textus上で動作させる、モデリング中心のソフトウェア開発方法論と技術体系です。

識別子 (Identifier)

Identifierとは、Identityを持つ対象または相関対象を参照し、他の対象から区別するために使用する値です。IdentifierはIdentityを表現できますが、対象が時間を通じて同じ対象であるというIdentityの意味そのものではありません。

イベント (Event)

UMLにおけるEventは、Behaviorの実行中に発生し得る出来事を記述するものです。EventのOccurrenceを受け取ることで、StateMachineのTransitionなどのBehaviorが起動されます。

制約 (Constraint)

UMLにおけるConstraintは、一つ以上のModel ElementのSemanticsの一部を宣言するため、自然言語または機械可読言語で表した条件または制限です。評価結果はBooleanであり、評価は副作用を持ちません。

セキュリティ (Security)

Securityとは、情報と機能を正当な権限に従って保護し、不正な閲覧、利用、変更、破壊、否認を防ぐ性質です。Confidentiality、Integrity、Authenticity、AccountabilityなどのConcernを含みます。

信頼性 (Reliability)

Reliabilityとは、指定された条件と期間のもとで、システムが要求された機能を一貫して遂行する性質です。Availability、Fault Tolerance、Recoverabilityなどを含む観点から評価します。

性能 (Performance)

Performanceとは、指定された条件と資源のもとで、システムが処理時間、応答時間、Throughput、容量などの時間的要求を満たす性質です。

テスト (Test)

Testとは、指定した条件で対象を実行または評価し、観測した結果を期待する結果やConstraintと比較して、要求または契約への適合を確認する活動とその仕様です。

用語集 (Glossary)

Glossaryとは、対象領域で使用する用語について、名称、意味、境界、同義語、識別子を管理する知識資源です。関係者が同じ用語を同じ意味で扱うための共通基盤になります。

同一性 (Identity)

Identityとは、値やStateが変化しても、ある対象を他の対象と区別し、時間を通じて同じ対象として追跡するための同一性です。IdentifierはIdentityを表現または参照する値であり、Identityそのものと同義ではありません。

Cozy Modeling Language (CML)

CML(Cozy Modeling Language)は、オブジェクト・モデルのうち、プログラム生成と実行へ接続する実行可能モデルを記述するSimpleModelingの形式モデリング言語です。

障害 (defect)

成果物(設計書、仕様書、コードなど)に存在する不完全さや不足。要求や仕様を満たさず、修正や置換が必要となる状態。ISO/IEC 24765 に基づく。

開発プロセス (Development Process)

Undefined

品質属性 (Quality Attribute)

Quality Attributeとは、ソフトウェアが機能を実行できることに加えて、どの程度の品質で要求を満たすかを表す特性です。Security、Performance、Availability、Reliability、Resilience、Observability、Maintainabilityなどが含まれます。

協調 (Collaboration)

UMLにおけるCollaborationは、専門化された機能を担う参加要素のRoleが共同して、目的とする機能を達成する構造を記述するClassifierです。

操作 (Operation)

UMLにおけるOperationは、関連するBehaviorを呼び出すための名前、型、Parameter、Constraintを定めるClassifierのBehavioral Featureです。Operationは呼び出し契約を定め、MethodなどのBehaviorがその実現を担います。

型 (Type)

Undefined

文芸モデル (Literate Model)

Undefined

ドメイン・モデリング (Domain Modeling)

Undefined

ユースケース・モデリング (Use Case Modeling)

ユースケース・モデリング(Use Case Modeling)とは、Actor、Goal、Use Case、Scenario、Outcomeを用いて、システムに対する利用者や外部主体の意図をユースケース・モデルとして構成する活動です。

ユースケースシナリオ (Use Case Scenario)

Undefined

モデル上の相互作用 (Interaction)

Undefined

状態機械 (StateMachine)

UMLにおけるStateMachineは、Eventの発生によって起動されるTransitionでStateのグラフをたどり、システム要素のevent-driven Behaviorを表すBehaviorです。

活動 (Activity)

アクティビティスペース内で実行される具体的な行為またはタスク。アルファをより進んだ状態へ移行させるために行われ、通常はワークプロダクトの生成や改良を伴う。

追跡可能性 (Traceability)

開発におけるTraceabilityとは、要求、用語、Model Element、設計判断、Test、実装、実行結果の関係を識別子と根拠によってたどれる性質です。